
やっぱり壁の間に・・・
遠藤さんが戻ってきた・・・
「この壁に穴を開けてもいいですか?」
「お願いします
」俺は迷わず答えた。
遠藤さんは壁を叩きながら子猫の居場所を確認していた

「にゃー!にゃー!」
子猫は昨日の夜のように何度も泣いていた


「店長いい子にしてたから早く出して
」そう言ってる様だった・・・・
遠藤さんは慎重に壁を削った

正方形に開けた壁から虎毛の子猫が
・・・あっ

俺達が声をそろえた・・・
しかし子猫は中に入って姿が見えなくなってしまった・・・
ゆきこが功全から受け取った猫じゃらしを
遠藤さんに渡そうとした・・・・・
遠藤さんは黙って首を横に振って、ゆきこに微笑みかけた
「僕には必要ないよ」
そう言ってるようだった・・・
そして俺に向かってこう言った
「かつお節もって来てください
」かつお節って・・・・
遠藤さんを呼んだのは失敗だった・・・・
「そんな子供が考えるみたいな作戦あかんでしょう
」そう言いそうになったがぐっとこらえて
かつお節を遠藤さんに渡した

遠藤さんはかつお節を穴に近づけて子猫をおびきよせる作戦だった・・・・
「猫じゃらしのほうがまだいいやろ
」俺は心の中でつぶやいた・・・・
しかし遠藤さんの目は本気だった

まさに本気と書いてマジと読む
そんなオーラだった・・・・
遠藤さんは左手にかつお節を持ち
右手を壁の中に深く突っ込んだ
その手を出したとき・・・・
しっかりと子猫の首を捕まえていた・・・
えっ



俺達は一瞬言葉を失った・・・
「ありがとうございます!」
「遠藤さん
凄いですね
」「では、私は次の現場がありますので・・・」
そう言うと何事も無かったように帰って行った・・・
本物のアニマルハンターは遠藤さんだった


子猫救出に成功した俺達は、今までのプレッシャーから開放された
俺は救出した子猫を眺めながら
最近の出来事を思い出していた・・・・
本当にいろんな事があった・・・・
でもこいつら子猫達のおかげで、俺達は成長できたのかもしれない・・・・
その時子猫と目が合った・・・・
「にゃー!にゃー!!」
まるで
「店長
助けてくれてありがとう
」そう言ってるように聞こえた

こいつかわいいな


そう思った時
スタッフのれいこがつぶやいた・・・・
「ひろえが来る前に連れて帰ったほうがいいですよ・・・
彼女猫を見たらまた暴走しますよ
」俺は黙ってうなずいた
それを見たゆきこが子猫を抱いて立ち上がった

「では、私はこの子を連れて帰りますね
」子猫を抱いてそのまま店を出ようとした

その時・・・・
「風邪ひくなよ
」俺は子猫に声をかけた・・・・
抱きかかえられた子猫が体をひねって俺の方を振り返った・・・
子猫と目が合った・・・
一瞬時間が止まった気がした・・・
「にゃー!にゃー
にゃー
」今まで一番大きな声だった・・・
俺にははっきりと聞こえた
「店長
お世話になりました
このご恩は一生忘れません
」ゆきこは子猫を抱いたまま階段を上って行った・・・・
姿は見えなくなったが泣き声はしばらく響いていた・・・
何度も
「店長ありがとう

」そう叫んでいた・・・
「俺もお前らの事・・・忘れへんぞ!元気でな

」俺は涙
をこらえながら叫んだ
こうして俺達京四季庵の子猫救出大作戦は本当に終わろうとしていた・・・・
「あいつ最後までにゃー、にゃーうるさかったですね・・・」
隣にいた功全がつぶやいた!
こいつは最後まで何もわかっていなかった・・・
長らくお付き合いいただきました
子猫救出大作戦は次回で最終話です。
ご期待下さい・・・・



待ち遠しいような寂しいような・・・
でもでも、楽しみにしております☆